Netflixで見た“地面師”が、実はアメリカの不動産市場でも起こりうる話
- AKIVARK

- 10月2日
- 読了時間: 9分
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今回もアメリカ不動産、カリフォルニア州不動産、アメリカの住宅ローンについて、皆様のお役に立てるような内容を、弊社ローンオフィサーのTakashi Akibaおよびリサーチャー/REALTORⓇのSaoriの見解を交えて解説いたします。
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「映画のような詐欺話が、実はアメリカの不動産市場にも現実として存在する」
Netflixの「地面師」は、巧妙な偽装・成りすましで不動産を奪う詐欺手法を描いています。日本での物語ですが、アメリカでも同様の犯罪「Title Fraud(所有権詐欺/Deed Theft)」は現実に起きています。この記事では、映画と現実を比較しながら、NAR(全米不動産協会)のガイドラインも踏まえて、皆様にわかりやすく解説します。
所有権詐欺(Title Fraud)とは? — NARガイドから学ぶ基本
まずは、NARの「Consumer Guide: Understanding & Protecting Yourself From Title Fraud」が示す基礎知識を押さえましょう。 Source National Association of REALTORS®
定義・特徴
所有権詐欺とは、偽造書類・なりすましID等を用いて、実際の所有者の許可なしに名義を不正に移転する犯罪です
犯人は、記録官事務所(County Recorder’s Office)に偽の書類を提出して登記を行い、「本来の所有者が移転に合意したように見せかける」ケースが典型です。
権利移転後、物件を売却したり、ローンを組ませたり、担保権を取得しようとしたりするケースがあります。
最悪の場合、詐欺者が差し押さえや立ち退き手続きを起こすことも。被害者が実際にそこに住んでいても、法的に争わざるを得ない状況になることがあります。
NARは、以下のような手口を典型例として挙げています:
偽造署名での名義変更
偽の身分証明書やなりすましID
物件を売却・抵当登録をするための記録登録(登記)
詐欺業者が「リモート Notary(遠隔公証)」を活用しようとする動き
警戒すべき“サイン”
NARのガイドでは、いくつかの注意すべきサインを挙げています:
空き家や無担保物件を市場価格より著しく割安で売り出している
売主が電話や対面を避け、電子コミュニケーションのみで進行しようとする
売主が独自のリモート Notary を強く主張する
所有者が受け取るはずの固定資産税通知を受け取らなくなる、または所有者名義以外の郵便物が届く
銀行、行政、政府機関などから予期しない通知が送られてくる
これらの「サイン」は必ず詐欺を示すわけではありませんが、慎重に対処すべき警戒信号です。
売主がエージェントを通さずコンタクトをとってくる場合は、かなり注意が必要です。
自己防衛策/対策
NARは、次のような防衛手段を推奨しています:
所有している物件について、記録官事務所(County Recorder’s Office)で変更時にアラートを出す制度があるか確認する
定期的に土地・税務記録をモニタリングする→エージェントやCountyに問い合わせもできます。
購入時には 完全なタイトル検索(Title Search) を行わせる→通常はPreliminary title reportというレポートが発行されます。
購入時に所有者用タイトル保険(Owner’s Title Insurance) に加入する
資金の振込指示などは、電話で担当者に確認する
万が一詐欺が疑われる場合、FBI や地方警察、弁護士、記録官およびタイトル保険会社へ速やかに連絡する
タイトル保険は、偽造や隠れた権利主張といったトラブルが後日見つかったときに、法的な防衛・補償を提供するものです。
NARの調査(2025年 Deed & Title Fraud Survey)によると、このようなデータがあります。
全国の回答者のうち 63% が過去12か月間に自身の市場で所有権詐欺または権利詐欺(deed fraud/title fraud)を認知したと報告
騙されやすいのは、空き地(vacant land) や未使用地が中心で、居住中の一戸建て住宅は比較的リスクが低い報告も
詐欺対策政策(防止および抑制措置)は、回答地域の 76% で何らかの形で導入済み
最も支持される手段は 電子通知システム(所有者に変更があったとき通知するシステム) で、回答者の 83% が有効と評価している
つまり、所有権詐欺は無視できない実態であり、地域によっては非常に頻発している問題です。
「地面師」の世界とアメリカの通じる部分・異なる部分
映画的な “スーパーはどこに行きますか?” は現実では使わない
「地面師」の映画では、成りすましの相手に「最近どこのスーパーへ行きましたか?」などの質問を投げかけ、記憶力の矛盾を突く手法が出てきます。しかし、アメリカの不動産実務においては、そのような“生活体験を使った質問”は本人確認手法として用いられません。代わりに、公証制度・本人確認書類・第三者チェック により本人かどうか確認をし、万一疑われる場合には、公証を拒否します。
カリフォルニア州のNotary制度 vs 他州のリモート Notary
州によってNotary=公証を実施するプロセスが異なる場合があります。
たとえば、カリフォルニア州では、対面で署名者本人を確認する Notary Public の制度が残っており、ID確認が面前で行われます。これにより、なりすましリスクをある程度抑えることができます。
リモート Notary (RON:Remote Online Notarization)を導入している州では、物理的な対面確認ができないため、代替手段として顔認証、ビデオ通話による顔確認、複数の証明書類照合、チャレンジ質問、認証プロバイダーによる本人の検証など、複数段階での厳格な本人確認が行われています。
実際の売買取引での流れ:第三者機関が安全性を守る
映画では登場人物が対面で確認しあうシーンもありますが、アメリカの不動産売買では、売主・買主・不動産会社が同じ場に立ち会うことはほとんどありません。むしろ、タイトル会社(Title Company)/エスクロー会社(Escrow Company) が中立機関として契約・書類・資金の流れを管理・審査します。
タイトル会社は、
過去の所有者履歴(Chain of Title)を遡って調査
抵当権・担保や他の権利関係をチェック
提出書類の整合性・署名・本人性を確認という業務を行います。
この仕組みによって、映画のように“詐欺師が全てを仕掛けて逃げる”という構図を排除するガードラインを設けています。
私の経験例:国際取引での本人確認の壁
実際に私が関わったケースをご紹介します。ある日本法人のお客様が、アメリカ不動産を売りたいということで、次のような事情がありました:
公証書類:日本発行、英訳付き
提示された ID:日本語のパスポート等
書類署名はパスポートと異なる署名
パスポートと異なる署名で本人確認が乏しい場合、タイトル会社としては「この人物・法人が実際にかつ正当にその権利を有する者か」を十分に判断できません。結局、タイトル会社から追加で以下のような書類を求められました:
英語の宣誓書(Affidavit)
法人登録証明、取締役名簿など
こうした確認要求は一見 “煩雑に見える” かもしれませんが、詐欺リスクを下げるためには不可欠です。特に国際取引・異文化間での書類取扱いでは、タイトル会社は慎重になります。
タイトル保険(Title Insurance):最後の防衛ライン
不動産取得時には、タイトル保険への加入 がほぼ必須と考えるべきです。
Lender’s Policy(ローン保険):融資機関を守る保険。ローンを組む際にはこの保険加入が求められることが多い。
Owner’s Policy(所有者保険):購入者自身を守る保険。任意加入が一般的だが、所有者としての立場を守るためには非常に重要。
タイトル保険は、偽造・詐欺・隠れた権利主張・未発見の抵当権などが後から浮上した際に、法的防衛および損害補償を提供します。NAR のガイドでも、タイトル保険は“あなた自身を守るための保険”として強く推奨されています
詳しくはQ タイトル保険とは何ですか?の記事もご覧ください!
いかがでしたでしょうか?ご自身のタイトル=所有権がどのようになっているか、今一度確認をしてみることもお勧めします。
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